はじめに
こんにちは、Heinzです。 前回の記事「資産形成のすべてを表すたった一つの数式」では、資産形成の本質を
(収入 – 支出) × (1 + 利回り)^運用年数
という数式で解説しました。
この数式の威力は、利回りや運用年数で資産を爆発的に増やす部分にありますが、それもすべては最初のカッコで括った(収入 – 支出)がプラスになることから始まります。利回りがどうとか何に投資するとかそんなことを考える以前に、ここがマイナスだと資産形成どころか借金が増えていくだけです。
そんなの当たり前と言えば当たり前ですが、しかし資産形成に踏み出せていない人はこの部分に問題があるからにほかなりません。今回の記事ではこの資産形成の基盤部分である(収入-支出)について考えを整理していきましょう。
なぜ(収入 – 支出)がプラスでなければならないのか?
数式の最初のパーツである(収入-支出)は、毎月の「貯蓄額」を表します。これがゼロやマイナスでは、後半の数式がまったく意味をなしません。イメージしてみてください:
- プラスなら:貯蓄が積み上がり、複利で雪だるま式に増える。
- ゼロなら:ゼロに何をかけてもゼロ。資産は増えず、むしろインフレで実質的に目減りする。
- マイナスなら:借金が増え、利息も膨らむことによって状況は深刻化。
資産形成の基礎の基礎はこの「貯蓄力」だと言っても過言ではありません。現在貯蓄ができていない人は、まずは月1万円だけでもいいからプラスを目指しましょう。そこがすべてのスタート地点です。
具体例:数字でわかる貯蓄額のインパクト
前回の数式に戻って、貯蓄額の違いを実感しましょう。利回り7%、運用年数30年の場合。
- ケース1:貯蓄額月0円(収支トントン)
未来の資産 = 0 × (1.07)^30 = 0円。運用以前の問題。 - ケース2:貯蓄額月2万円(収入35万円 – 支出33万円)
年24万円貯蓄で、30年後の資産は2,426万円。 - ケース3:貯蓄額月5万円(収入35万円 – 支出30万円)
年60万円貯蓄で、30年後の資産は6,064万円!
ケース2とケース3を比べると、月々の貯蓄額を3万円増やしたことで、将来の資産には3,600万円もの差が生まれていることがわかります。1か月にするとたった3万円の違いですが、長期的には複利の力によってこれだけ大きな差になるのです。
だからと言って収入を増やすのは簡単ではない
(収入-支出)の数式をプラスにするためには「収入を増やす」と「支出を減らす」のふたつのアプローチが考えられます。
しかし現実問題として「収入を増やす」はそんなに簡単なことではありません。もちろん、実現できればとても大きな効果があります。しかし、今の職場で昇給を勝ち取る、給料の高い職場に転職する、副業で追加的な収入を得るなど、いずれの選択肢も簡単にうまくいくものではありません。いつかはそこも考えなければいけない時が来るかもしれませんが、資産形成のファーストステップとしては「支出を減らす」ことから考えた方が取り組みやすいでしょう。
支出を減らす:守りの鉄則
支出の無駄を削ることは、今日から始めることのできる即効性の高い取り組みです。バケツの底の穴を塞ぎ家計の「漏れ」を塞ぐイメージで、支出を見直していきましょう。具体的には以下の3ステップで進めていきます
現状を把握する
まずは現状として、何にどれだけのお金を使っているのかを把握しましょう。正確な現状把握がないと、どこに支出の削減余地があるのかもわかりません。
このステップでは、とにかく支出を記録することを習慣づけます。簡易なものでよいので、スマホに家計簿アプリをインストールしておきましょう。複雑な機能はいらないので、おこづかい帳アプリと呼ばれるようなシンプルなものでもよいです。
アプリがインストールできたら、あとはとにかく記録です。お金を使ったらその場で即記録してください。いつでもアプリを開けるように、スマホのホーム画面で一番押しやすい場所にアイコンを配置しておきましょう。レジで会計したら即記録、駅の改札を通ったら即記録、ネット通販でポチッたら即記録。もちろん自動で銀行口座から引き落とされる家賃や携帯代なども、月に一度確認して漏れのないように記録していきましょう。
最初はめんどくさいと感じるでしょう。しかしここをしっかりやりきることは貯蓄習慣を作るための大事なポイントです。最低2か月、できれば3か月ほど、この作業を続けていきましょう。1か月で終わらないのは、たまたまその月だけ必要な臨時的な出費や、2か月に一度支払わなければいけない固定費などの存在を正確に把握するためです。
固定費を把握し、予算を作成する
2~3か月分のデータが記録できると、自分が何にいくら支出しているかおおよそ把握できたと思います。まずはその中から、固定費を抽出しましょう。
ここでいう固定費とは、「生活するうえで必ず支払わなければならない支出」を意味しています。金額が固定という意味ではありませんのでご注意ください。例えば水道光熱費は月によって金額に変動がありますが、生活に必須ですので固定費と考えます。反対に、毎月支払っているネットフリックスの会費は、金額こそ固定されていますが、趣味・娯楽のためのものなので、固定費には含めません。
整理が難しいのは食費です。食べなければ生きていけませんから食費も基本的には固定費と言えます。しかし時々贅沢なものを食べたり、友人とお酒を飲みながら食事をすることもあるでしょう。その場合は娯楽の要素も含んでいるので固定費とは言い切れません。そうした飲食は「外食」「交際費」などの名目にしておき、固定費とは考えないのが良いと思います。
さて、一通り固定費が抽出できたら、その中で削減余地がないか検討し、予算額を決定していきましょう。
- 次の更新のタイミングで家賃が低い物件に引っ越せないか
- スマホの通信料をもっと安いプランに変えられないか
- 自炊を増やせばもう少し食費を抑えられないか
- 不要な保険に入っていないか
- スタバに行き過ぎていないか
- 美容室を変えてみてはどうか
などなど、様々な角度から検証してください。そして決定した金額を集計し、固定費の予算額を決めましょう。
実際に私が資産形成を始めると気に作った予算表は以下の記事で公開しています。
変動費を予算化する
固定費に含めなかった支出は、すべて変動費です。外食費、交際費、被服費、趣味やレジャーに関する支出といったものが主な項目になるでしょう。これらについては、毎月の予算額を決めておきましょう。月によって変動することは避けられないと思うので、平均値でイメージしておけば十分です。例えば、年間で20万円は旅行に使いたい、ということであれば12ヶ月で割って1.7万円が月の予算です。ここで一番大事なことは、予算があるという意識をしっかりと持って行動できるようになることです。
貯蓄可能額を確認し、再検討を繰り返す
さて、ここまで支出について検討を進めてきました。あなたは既に、現状の支出状況を正確に把握した上で、固定費の見直しと変動費の予算化ができています。そうしてスリム化された後の支出額を、ご自身の収入額と比べてみましょう。差額として残っているのが月々の貯蓄可能額です。
どうでしょうか?あなたの望む金額になっているでしょうか?もし不十分であるならば、もう一度支出内容を見直してみましょう。おそらく1回目で満足のいく結果を出すのは難しいと思いますから、何度か検討を繰り返すことになるでしょう。どの支出も我慢せずに生活するというのはやはりそれなりに高収入でないと難しいです。どの支出は削れるか、どの項目は譲れないのかを考えることは、ご自身の価値観と向き合うことにもなります。そのこと自体、非常に有意義な行為であるとも私は思っています。
注意点:バランスを崩さないように
とはいえ貯蓄を重視しすぎて、生活自体がストレスになっては本末転倒です。無理な節約は長続きしませんから、娯楽費をゼロにするような極端な計画は止めましょう。どうしてもうまい計画が立てられないときは、一旦収支がプラスマイナスゼロになるところでストップしておいてください。環境の変化や昇給など、適切なタイミングを待つことが必要なケースもあるでしょう。
まとめ:資産形成の基盤を作り上げよう
資産形成というと投資の華やかな部分に目が行きがちですが、その基盤は数式の冒頭にある(収入 – 支出)をしっかりとプラスにすることです。これなくしては、数式の後半部分が機能しません。今日から家計簿アプリをインストールし、支出の最適化に向かって動き始めましょう。




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